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2月15日 入学前スクーリングレポート

はじめに ~入学前スクーリングについて~

京都精華大学では初年次教育、専攻での専門的な学び、そして社会で生きてゆく土台となる力になる「3つの基礎力」教養力、表現力、協働力の大切さに気づいてもらうために入学前教育を行なっています。
今年度3回目(最終回)の入学前スクーリングでは、この3つの基礎力を総体的に身につけるため「講義」と「卒業・修了発表展の鑑賞」を行いました。その様子を写真と共にレポートします。
はじめに、吉野高大接続センター長から、今日の「卒業・修了発表展」の鑑賞について、展示作品から4年後の自分を想像したり、作者である先輩に質問してみて欲しいなどのポイントが説明されました。
 
第3回スクーリングは次の流れで行われました。
 
1. マンガと展覧会をテーマにした講義を受ける(講師:吉村副学長・マンガ学部教員)
2. 講義の感想を書く
3. 入学予定の学科・コース別に展示作品の解説を聞く
4. 自由に展覧会を鑑賞する(各自でお昼休憩)
吉村副学長の講義では、「マンガの展覧会」を素材として、京都精華大学の学びについて考えました。
 
まずは、京都精華大学が2006年に京都市と共同で設立した「京都国際マンガミュージアム」を紹介し、本学のマンガ学部、マンガ研究科、国際マンガ研究センターの役割や活動について説明しました。
 
つづいて、「マンガの展覧会」について考えるきっかけとして、次のようなトピックスを取りあげました。
 
1 大英博物館で開催されたマンガ展「The Citi exhibition マンガ」
世界的に有名な博物館で開催された国外最大規模の「日本のマンガ」の展覧会。ヨーロッパにおける日本のマンガの価値に今後大きな影響を与えると考えられる。
 
2 釜山ウェブトゥーン・フェスティバル
韓国発のウェブトゥーンは、デジタルマンガとして世界的に人気が高まっている。紙の原画を持たないデジタルマンガは、その特性を活かした表現方法で新しい可能性を見せている。
 
3 フランスのオークションで手塚治虫のマンガ原画が約3500万円で落札
マンガが美術品として価値を高める一方で、投機の対象として貴重な資料が散逸することが懸念されている。
 
4 横手市増田まんが美術館
日本国内でいち早くマンガの原画に着目したマンガ美術館。20万枚以上の原画を所蔵し、魅せる所蔵「マンガの蔵」など、新しい所蔵スタイルも注目を浴びている。
 
5 川崎市市民ミュージアム
2019年の台風19号の影響で、地階に保管された収蔵品の多くが浸水被害を受け、現在もレスキュー作業が行われている。マンガを含む文化財保存のあり方が問われている。
60分の講義を終えて、参加者のみなさんは感想をコメントカードに記入してもらいました。「はじめて大学の講義を受けて、入学後が想像できた」、「マンガが抱える課題を知ってもっと勉強してみたいと思った」といった感想がみられました。
 
スクーリングの後半は、入学予定の学科・コースごとに分かれて展示作品を鑑賞しました。
 
マンガ学部ストーリーマンガコースでは、展示作品の解説やマンガ家である教員が自分の経験をふまえながら、大学でマンガを学ぶ意味について説明しました。
デザイン学部のイラストコースでは、たくさんの作品を紹介しながら、イラストレーションの様々なスタイルや、入学後の学び方について説明しました。
 
ポピュラーカルチャー学部のファッションコースでは、作品を制作した学生の考え方、素材、技法などを紹介しながら、ファッションデザインについて説明しました。
 
人文学部の展示では、卒業論文のタイトルが天井から吊り下げられ、論文は1点1点箱の中に収められています。参加者たちはその中から気になったものを選び、なぜ気になったのかを考える作業を行いました。
 
芸術学部の造形学科では、洋画、日本画、立体造形、陶芸、テキスタイル、版画、映像の7つの専攻の作品を順番に鑑賞しました。そして作品それぞれのコンセプトや技法について解説しました。
 
展覧会の鑑賞を終えて、参加者のみなさんに感想を書いてもらいました。キャンパス全体を使った展示は1日では周りきれなかったようですが、入学する学科・コースを理解する良い機会になり、他学部の作品から大きな刺激を受けたという感想も多くみられました。
 
スクーリングのまとめにサコ学長から、「今日、みなさんは先輩たちの学びの集大成を観ました。作品自体のクオリティはもちろん大切ですが、作品にどんな思いを込めたのかを文章で表現することも大切です。それによって鑑賞者と作者のコミュニケーションがより豊かになることを知ってください。そして、4年間学んでいく中で、もし悩むことがあったら、先生やクラスメイトに相談してください。みなさんはけっして1人ではないということを覚えておいてください」というメッセージが贈られました。
 
最後に、入学予定者のみなさんに入学式とオリエンテーションについて説明し、第3回入学前スクーリングは終了しました。
 
また、入学予定者のみなさんには、入学するまでの間、自宅課題「Discovery Diary」を続けるようお願いします。「学びのおすすめリスト」もご案内しますので、学びにぜひお役立てください。
それでは、4月1日の入学式でお会いしましょう。
 
 
京都精華大学 高大接続センター

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