堤 邦彦 TSUTSUMI Kunihiko

専門分野

日本近世文学 / 説話伝承史

所属
  • 国際文化学部 人文学科 文学専攻
  • 人文学部 総合人文学科 文学専攻
  • 大学院 人文学研究科
  • 全学研究機構 情報館長
  • 全学研究機構長

経歴・業績

慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。世の中の役に立たない(と見做されてきた)怪談研究をライフワークとする。『江戸の高僧伝説』、『怪異学の技法』(共著)、『女人蛇体—偏愛の江戸怪談史』、『現代語で読む江戸怪談傑作選』など。2015年より怪談朗読団体・百物語の館の元締として公演活動中。

メッセージ

水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎』の原題が『墓場の鬼太郎』だったことはご存知ですか? 妖怪族の血をひく母が墓の下で鬼太郎を産む名場面から付けられたタイトルです。一方、死んだ女の墓中出産にまつわる説話の歴史をさかのぼると、そこには昔話「子育て幽霊」の息の長い伝承が見出されます。中世日本の名僧・一休を幽霊の生んだ子供とする異説さえあるのです。亡母の産育をめぐる怪談の伝説は、あの世とこの世を結ぶ仏教説話にアレンジされ、全国の寺院に同種の伝説を根付かせたのでした。その流れはやがて昔話や江戸期の怪談に変容し、さらに近代の紙芝居を経て水木マンガに展開していきます。喜怒哀楽の生活感情を口走る物語の中の幽霊が面白くてなりません。

作品・著書・研究活動など