日本の文化とは何か 京都の特性を生かし探求する

文化とは、人々が集団になってつくりだし、継承してきた営みのことです。文化を研究するということは、その時代、その地域に暮らす人々の生き方を知り、なぜいまの社会が形成されたのかをひもといていく作業にほかなりません。本専攻では、日本古来の能や茶道といった伝統文化から、音楽、マンガ、映画などの大衆文化まで、日本の文化を切り口に、日本社会の変遷を考察します。なぜそれが流行したのか、どのような人たちが、どのように嗜んできたのか、体験的な学びを通じて理解します。それにより日本独自に築いてきた価値観や世界に共通した感覚を発見し、世界のなかの日本を新たな視点で見つめていきます。ここで得た気付きは、日本はもちろん世界中で、新たな価値を発信し、社会を照らす力となるでしょう。

科目PICKUP

観光学総論
日本のみならず世界的なパッケージとなりつつある観光による地域振興。一般的な地域社会での観光振興のみならず、宗教やグローバル経済といった、多様な文脈の中でトピックをあげながら観光を考察します。
日本芸能史
田楽、神楽、風流、獅子舞から歌謡、平曲、能、狂言、浄瑠璃、歌舞伎にいたる日本のさまざまな芸能を映像資料や実際の上演の見学などを交えつつ考察。日本の芸能文化に通底する本質的な美学を理解します。

  1. 1年次

    FIRST

    人文学の基礎を知る

    4専攻の分野をひと通り学ぶ
    1年次は専攻に所属せず、「文学」「歴史」「社会」「日本文化」の基礎を学び、分野の特長や研究手法の違いなどについて理解します。文化を構成する要素と現代社会の成り立ちを知り、自分の興味に基づき研究したいテーマを探します。

    広い知識とことばから、自分を知る
    ことばを通して自分や他者への理解を深めます。研究に必要となる、「興味があることを掘り下げテーマを設定する力」、「過去の研究や現場を調査する力」、「自分の考えを論理的にまとめ発表する力」を基礎から身につけます。

  2. 2年次

    SECOND

    4つの専攻に分かれて学ぶ

    専門知識の理解を深める
    文学・歴史・社会・日本文化の4つの専攻に分かれて専門的な学びに取り組みます。概論や文化史などの講義、文献購読などの演習を通して、それぞれの時代、領域を網羅した教員陣のもと、専門性を深めることができます。

    ゼミ形式で調査技法を学ぶ
    少人数の演習形式(ゼミ)で同じ分野に興味を持つ仲間とともに、自分の研究テーマを掘り下げていきます。また、3年次のフィールドワークプログラムに向けて、担当教員の指導をうけながら調査計画を立案します。

  3. 3年次

    THIRD

    学外に飛び出して学ぶ

    キャンパスの外へ旅立ち研究する
    各専攻で学び獲得した知見を、実際にフィールドへ足を運んで検証します。2ヶ月間、キャンパスの外で異なる文化や社会に身を置いて、多様な価値観に触れることで実感を伴った知識を得、深めることができます。この経験が新たな視野となり、世界を広げ、独自の発想につながっていきます。

    調査結果を検証する
    プログラム終了後は、キャンパスに戻って調査した内容をふりかえります。現地で収集したデータや資料を整理し、報告書にまとめます。教員や仲間に研究成果を報告し、指摘や議論を通じて、その理解をさらに深化させていきます。

  4. 4年次

    FOURTH

    卒業研究に取り組む

    自分の考えを形にする
    3年次までに深めた知見をもとに、自分の考えを卒業論文として発表します。興味・関心のあるテーマを追究し、他者に伝わるよう情報を論理的にまとめる論文執筆には担当教員が親身に指導にあたり、構想を練るところから、文章校正まで一対一でアドバイスを行います。

4年間で身につく能力

  • 体験的に文化を理解する力
  • 西洋文化や東洋文化などを 総合的に理解する力
  • 日本や海外の伝統文化の魅力を発信する力

卒業論文のテーマ例

  • 近代以降の京都における中華の食文化 ——「京中華」をめぐる考察
  • YouTube による芸術経営 —— 芸術家をどう守るか、芸術家はどう生きるか
  • 京都の花街と和服について —— 京都上七軒をとおして
  • 岡山ジーンズから見る日本のモノづくりの展望

卒業後の進路

めざせる職業
ツアープランナー / キュレーター / 学芸員 / 学校教員 / 営業(総合職) など

主な就職先
旅行代理店 / 観光・サービス業 / N PO・NGO / 広告制作業 / 製造業 / 流通小売業 など

取得できる資格

在学中、指定された科目単位を取得すれば、以下の資格を取得することが可能です。
その他、検定・資格取得のための支援講座も用意されています。
 
  • 高等学校教諭一種免許状(国語・地理歴史・公民)
  • 中学校教諭一種免許状(国語・社会)
  • 図書館司書
  • 博物館学芸員
 

VOICE

  • 米原 有二教員

    複眼的に社会を見つめ、 自分だけの研究テーマを発見

    伝統文化や工芸、地域振興を扱います。日本文化を主なテーマにしながらも、主役はあくまで人間。現地調査では積極的に当事者に会いに行きます。文化とは人間の営みそのものですので、研究テーマは無限。大切なのは、ひとつのテーマを出発点にしながらも、いくつもの視点をもって社会を見渡すことです。「伝統産業とテクノロジー」「アニメーションと日本の美術表現」など、多角的な視野で自分だけの研究テーマを見つけてください。
  • ティーター・ジェニファ・ルイーズ教員

    無条件に 「受け入れられている」と誰もが感じられる社会に

    さまざまなルーツをもつ人々、移民や難民、先住民族など、幅広く日本のダイバーシティについて調査します。私の人生は自分自身とは異なる人々と交流することでとても豊かになりました。しかし、大切なのは相違点ではなく、私たちの共通の人間性。絶え間なく変化する複雑な世界で、私たちには誰もが無条件で「受け入れられている」と感じられるような社会にする責任があります。学びを通して、一市民として積極的に行動する力を身につけましょう。